最終更新日:1997年5月5日

静の四年生最後の作文です。(平成9年3月記)

泣かないで、つくしちゃん。

 わたしは、歩道のはじに、はえている、つくしです。

 いつも、みんなの足を、横からみています。ほとんどの人は、わたしをみてくれません。でも、さびしくは、ありません。だって、こんなことが、あったからです。たしか、一週間ぐらい前のことです。

 その日は、朝から雨が、ふっていました。わたしの前に、小さな女の子と、そのお母さんがきました。小さな女の子は、2さいぐらいでした。

「ダメったら、ダメ。このまえ言ったでしょ。」

 「ヤダ、ヤダ。おかち、おかち、ちよーだい。」

  「だめよ、つくし。あきらめなさい。」

   「ヤダ、ヤダー、ウエーン、ウエーン」

 この会話から、この子の名前は、わたしと同じつくしちゃんだと、わかりました。つくしちゃんは、おかしがほしい、ほしいと、泣き出してしまいました。お母さんは、こまりはてた顔で、あたりを見回して、わたしをみつけました。わたしは、ドキッとしました。だって、正面から見られるのは、初めてだからです。まだみつめています。ドキッ、ドキッーーー。とつぜん、

「つくしちゃん。つくしだよ。」

 「え、ほんとだ。ちゅくしだ。ちゅくし、ちゅくし。」

 つくしちゃんが、わたしをみながら笑ってくれました。わたしも、笑いたい気分になりました。だって、こんな小さなわたしを、みつけて、わらってくれたのです。 わたしは、このことがあってから、ずっと、思っています。いくら、せがひくくても、はじの方にあっても、みつけてくれる。そう思うと、うれしくなります。

 帰り道、少し、せをひくくしてみて下さい。わたしのような物がいるとおもいますよ。

                    加藤 静=作、加藤 静、明=画、加藤 茜=協力


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